仙台市のいじめ自殺、献花台はなぜ撤去されるのか?
- 2015/09/23
- 06:43
いじめ事件では、まったくもって同じことが繰り返される。
学校は、何度相談があっても、子供が自殺するまでは大きな問題と受け止めず、明確な被害があって子供が自殺してもなお、いじめは無かったものとするか、済んだものとする。一部の地域住民は、これ以上騒いで欲しくない、迷惑だという反応を示す。
裁判所はいじめと自殺の因果関係が明確でないとする。そしてそのあげく、「自殺した子供が悪かった」などと言う者が現れ遺族を苦しめる。
もし加害者らが、悪かったと土下座して涙すれば、それだけでも、遺族や死んだ子供もまだ救われようが、隠蔽し、あるいはふてぶてしく対応する。こういうことが許されていいはずがない。
学校名すら出さない、市教委のおそまつな対応
昨年、仙台市立館中学校(宮城県仙台市泉区館6丁目・菅原光博校長)で、中学校1年の男子生徒がいじめを受けて自殺した事件も象徴的だ。館中学校は、自殺した生徒を「家の都合で転校した」などと虚偽の説明しており、また市教委も、遺族の意向として、その学校名すら伏せてきたからだ。
これを、もっとはっきりと言うならば、「ウソつきな学校」ということになるのだろう。
事情がどうであれ、学校がこのような「ウソ」をつくならば、事件の真相究明や、今後の対策にも期待できまい。ましてそのような陰湿な対応の学校で、まともな子供が育つはずもない。すでに、「迷惑だ」という関係者らしき子供の声すらネットには掲載されている。
市教委の口車に乗り、学校名すら報道しないマスコミもしかり。これでは加害者の肩ばかりを持つのか、という批判が出るのも当然のことだろう。
献花台すら置かせない地域住民たち
その続報として9月21日より話題になっているのはz、仙台市に新たに置かれたという約2メートルの献花台だ。
最近、誰かによって設置され、多くの人たちが訪れて献花して無言の抵抗を示しているようだ。
ところが、この献花台設置が、誰に危害を加えるものでもないにも関わらず、市教委が怖いのか、マスコミはその場所についても報じていない。


それならば、あえて書いておきたい。
その献花台を設置した、ささやかな勇気を示した人物らしき書き込みによれば、「仙台市泉区にある館中央公園の、電話ボックス近く」。もよりのバス停は「泉ビレジ3丁目」らしい。
正確さを要求される記事が、こういう情報を入れなくていいはずはない。匿名情報のほうが、よほど信頼があるということになる。
この献花台をよく思わない一部の住民が、わざわざ泉区役所に通報。しかも、よく思わないその理由が「子どもの動揺を誘う」というから、笑うに笑えない。
当の中学校の生徒には、自殺で動揺するものもおり、自殺のことなどそっちのけで、『DEATH NOTE』で盛り上がる者もおり、学校で自殺者が出てなお、秘密裏に処理されることのほうが不気味だという者もいるだろう。だが、献花台で動揺するという説明は、あまりに滑稽だ。
その結果、区役所は、公園の不法占拠として撤去を求める張り紙を掲げ、「設置者が片付けない場合、週明けにも強制撤去する」などという大人げないコメントを出している。いわば少年は自殺してなお、学校や一部の地域住民から花をもらうことすら、拒否される存在なのか。
この一部の地域住民の心の狭さと、区役所の杓子定規なコメントには、あきれてしまった。
これでは、さすがに嫌がらせである。その嫌がらせの根っこに、いじめがある。仙台市泉区館というところには、よほど心ない人間も住んでいるに違いない、と感じた。いじめが社会の縮図であると言われる所以だ。もし、こういった軽微な行為を、不法占拠というような法的解釈で捉えるならば、交通事故、事件、災害などで路上に置かれる全国各地での献花にもクレームをつけられかねない。
誰かが人間として当然のことをしてくれた
もっとも、地域に、そうでない人たちがいるからこそ、献花もある。
「学校では彼が死んだことさえ『無かったこと』にされ、手を合わせる機会も、哀悼する場所もない。 誰かが人間として当然のことをしてくれた」
毎日新聞は、娘が男子生徒と同級生だったという地元の男性(51)の声を紹介した。
「今もきちんと事実を公表しない市教委や学校は、いじめ自殺をなかったことにしようとしているのではないか。地元住民として、亡くなった男子生徒を悼みたい」
河北新報は、夫婦で献花した近所の男性(65)感想を掲載した。
「亡くなったお子さんのご冥福を心から祈りたい方々へ。ようやく献花台が設置された様です。学校は子供たちに、人の死を悼むことさえもさせない。この悪質な隠蔽を打ち破るためにも、ぜひ館に行ってください」
ネットでは献花台のある場所が拡散された。
マスコミは、献花台にクレームをつける人の声も、それに反対する声もどんどん掲載すればいい。
いじめ自殺を出した学校名や校長名を伏せねばならない理由はどこにもない。これから更にネットで拡散され、周知の事実になるだろう。
少なくとも、マスコミには真相を報じる責務があり、市教委や学校には、世間の声を聞く義務がある。国民は、それを知ることと、声を上げる権利がある。
本文敬称略
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